なぜ宇宙人に会っちゃうの?

宇宙人とUFO

宇宙人はいると思いますか?

私はいると思いますよ。宇宙は広いですからね。

この宇宙に、文明をもった生命体がまさか地球にだけとは‥

第一それじゃ寂しすぎません?

でも、宇宙人が地球まで行き来できるかどうかは別問題。

宇宙は確かに広い、広すぎる。

そのあまりの広さゆえ、光速未満の宇宙船で行き来できる範囲が、全体からすると極々限られます。

その中で高度な文明を期待するのは、かなり分が悪い。

高度な文明では超光速航法が開発される?

そうかも知れないのですが、だとするといかにそれが技術的に可能なのかという現実的問題に加え、因果律をどう「正当に」破るのか?という原理的かつ宇宙観に関わるかなり大きな問題にぶち当たります。

UFO(宇宙人が乗った宇宙船としての)の存在を信じる人たちは、まずこういった問題に思いを馳せるべきだと思うのですが、そこまでの議論をする人がなぜか少ない。

それなしでは単なるロマンチストの域を出ないのであり、科学的な態度とは言えません。

夢とうつつの間隙を科学する

しかし現実問題として、アメリカの統計では4人に1人が宇宙人が地球にやって来ていると、また9%の人が宇宙人と会ったことがある、もしくは会ったことがある人を知っていると答えたとするデータがあり。

勿論この数字を見て額面通り「多くの人が宇宙人と遭遇している」などと受け取ることはできませんよね。

1つの可能性として、別に精神疾患などを想定せずとも脳機能の仕様で説明することができます。

レム睡眠と言われる浅い睡眠時、脳は休むのでなく活発に動いており、記憶の整理と定着が行われている、とされています。

そして目が醒める時、脳には2つの変化が起きます。

1つは意識の覚醒。

道理と理性で知覚を整理する前頭前野を経由しない、無意識の並列分散処理からくる結果をそのまま知覚する夢見の状態から、意識のクオリアを取り戻します。

2つ目は筋肉の制御の回復。

これら2つは通常同時に起こりますが、たまにそこに時間差が生じたりする。

これが、目が醒めているのに身体を動かすことができない「睡眠麻痺」(いわゆる「金縛り」)。

通常、目と喉以外の筋肉がマヒし、幻視や幻聴を伴います。

人口の8パーセント程度が人生に一度はこの経験をするらしい(私も学生時代経験しました)。

この時よく経験されるのが、身体を押さえつけられる感じ、そして侵入者がいる感じ。

押さえつけられる感は分かりやすい。

全身の筋肉がマヒし、とにかく意思に反し動けない状況を、脳は「何者かに押さえつけられている」と解釈するわけです。

問題は「誰かがそこにいる」感じ。

恐れる心は生存の母

神経科学研究によれば脳幹の作用による「レム侵入」という、夢見の状況が覚醒時に入り込む現象があります。

寝入りばなや起きがけの時、ふと本来そこにはないモノを見たり音を聞いたりしたことは無いですか?

私はわりと頻繁にありますよ(笑)。

なん百万年の歴史を持つ人類の末裔である我々は、その生き延びてきた長い歴史の中でまさにその生き延びのための技を生来的に持っています。

例えば恐怖心。

寝室の幽霊

草むらや夜の暗闇に捕食動物が跋扈する世界を生き延びてきた私たちには様々な恐怖心が植え付けられています。

キュウリを見て飛びあがる猫の動画が一時期流行りましたが、人間だってヒモを見て蛇と間違ったり、床の黒いシミを見てゴキブリと間違ってドキッとしたりなんてよくありますよね。

蛇に恐怖を感じなければ、嚙まれてしまうかもしれません。

ゴキブリも衛生状況を悪化させる要因になり得るので、多く発生する状況を放置しておけば健康状態に影響するでしょう。

つまり適切な恐怖感情が己の生存確率を高めるし、また適度な恐怖感情を持つ遺伝子を受け継いでいるのが私たちなのです。

恐怖を感じると、脳幹の中の青斑核(せいはんかく)という部位がある種のホルモンを分泌し、恐怖を緩和するとともに前述のレム侵入を誘導します。

宇宙人は脳の中に?

暗闇での金縛り体験。

それに恐怖を感じた脳は、その恐怖の要因を追い求め、レム侵入の内に霊的なものとか宇宙人を作り出す。

客観的に見れば、その場から逃げ出す必要のない状況ですが、遺伝的に恐怖を感じやすくなっている我々の脳はこのようにして、恐怖心、そしてその要因をある意味合理的に作り出しているのです。

他にも、暗闇でそもそも視覚情報の少ない状況で、視覚神経系は他の知覚刺激を受けて幻覚を作り出す、あるいは側頭葉への刺激が何者かの存在を感じさせる、などの研究もあり。

そしてこれらの幻視は得てして、驚くほど現実味を帯びて感じられます。

こういう議論をすると「科学者はロマンがない」なんて言われがちですが、研究の成果としての科学的知見は、それはそれとして見知ったうえで、自分なりに咀嚼すべきではないでしょうか。

少なくとも客観的に解明されたものを思い込みや願望で覆い隠し、自前の世界観を作り出すことをそれほど私はロマンチックとは感じません。

 

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